疲労の原因とメカニズム
私たちの日々の生活の中では、様々な要因から肉体、精神、神経において疲労が生じることになります。
たまたま活動量が多い日や突発的な精神的なストレスがあった日によって、一時的な疲労であれば特に心配ありません。
ただし、いつも疲労感が抜けない場合や疲労によって精神的、身体的変化が出てきた場合は注意が必要です。
めまいや頭痛、消化器官の不調などは、病気が隠れている可能性もあります。また、身体的な異常が認められないのに、日常生活が送れない場合は慢性疲労症候群と診断されることもあります。
疲れた状態が続いている方は日常的な対策、そして重度の疲労がある場合には早めに病院を受診する必要があります。
まずは、疲労をもたらす代表的なメカニズムについて理解しましょう。
活性酸素の増加
高負荷の運動や精神的なストレスによって生じるのが活性酸素です。
活性酸素自体は、有害物質を除去する働きがあり、それ自体悪い物質ではありません。
ただし、過剰に生じてしまうと細胞を傷つけ、疲労をもたらすことになります。
副腎疲労
慢性的な疲労によって負荷がかかりやすいのが副腎という器官です。
ストレスを感じた時には、副腎からコルチゾールが分泌されますが、疲労が蓄積されると副腎が機能不全に陥ります。これを副腎疲労と呼びます。
副腎疲労の方は、なぜか身体が動かないといった状態になります。
自覚症状は現れにくいので、心当たりがある方は血液検査でコルチゾールの値を調べてみましょう。
筋肉疲労
筋肉の疲労については明らかになっていない点が多いものの、いくつかの原因が指摘されています。
一つは、筋肉内のエネルギー源の不足です。筋肉内にはグリコーゲンが貯蔵されておりエネルギーとなっていますが、このグリコーゲンがないと活動に支障が出るというわけです。
また、運動により筋肉中に溜まる乳酸も、血行の悪化をもたらし疲労を感じさせる原因と言われています。
疲労回復に役立つ成分
疲労にアプローチできる成分は多くあり、それぞれの成分でその効果が研究されています。
疲労回復に役立つ成分と、その成分を含んだ代表的な商品をご紹介します。
現代人に不足しがちな、各種ビタミン、ミネラル
5大栄養素であるビタミンとミネラルは、抗酸化や代謝の活性化により、疲労回復に役立つことが確認されています。
ビタミンCサプリメントの原価とおよその原価率
複数のビタミンやミネラルを配合したサプリメントの原価計算はやや複雑となりますので、ここではビタミンCサプリメントの原価とおよその原価率をご紹介します。
1日2粒で1,000mgのビタミンCが摂取できるアルミパウチ入りのビタミンCサプリメント(1ヶ月分の販売価格500円)の原価を計算してみます。
ビタミンCの原料1kgが1,000円であると仮定すると30日分30,000mgで30円、タブレットの原料が1粒1円が60粒で60円、アルミパウチ10円、そのほか乾燥剤や充填費で20円となり、原価は合計120円となります。
販売価格500円とすると、原価率は24.0%となります。
ビタミンCサプリメントは入手しやすい成分であることに加え、大手メーカーが大量生産を行っています。そのため、低価格化が進んでおり、サプリメントの中でも原価率が高い傾向にあります。
大塚製薬 ネイチャーメイド スーパーマルチビタミン&ミネラル
栄養ドリンクの成分として知られる、タウリン
アミノ酸の一種であるタウリンは、結合してタンパク質にならない点において他のアミノ酸と異なっています。
タウリンは、体内では他の物質と結合せず遊離することで身体機能の衰えを防ぐ役割があるのです。
タウリンサプリメントの原価とおよその原価率
タウリンの原料価格は、魚介由来か四足動物の胆汁由来なのかによって大きく異なります。前者は1kgあたり10万円、後者は1kgあたり3万円で推移しています。
1日2粒で15mgのタウリンが摂取できるアルミパウチ入りのタウリンサプリメント(1ヶ月分の販売価格1,200円)の原価を計算してみます。
タウリンの原料1kgが10万円であると仮定すると30日分450mgで45円、タブレットの原料が1粒1円が60粒で60円、アルミパウチ10円、そのほか乾燥剤や充填費で20円となり、原価は合計135円となります。
販売価格1,200円とすると、原価率は11.3%となります。
大正製薬 リポビタンD
渡り鳥の筋肉に豊富な疲労回復成分、イミダペプチド
イミダペプチドは、疲労に深く関わる乳酸の分解を促す成分です。長時間にわたって休みなく飛び続ける渡り鳥の筋肉に含まれているのが、このイミダペプチドです。
イミダペプチドサプリメントの原価とおよその原価率
1日4粒で200mgのイミダペプチドが摂取できるアルミパウチ入りのイミダペプチドサプリメント(1ヶ月分の販売価格3,000円)の原価を計算してみます。
イミダペプチドの原料1kgが3万円であると仮定すると30日分6,000mgで180円、ソフトカプセルの原料が1粒1.5円が120粒で180円、アルミパウチ10円、そのほか乾燥剤や充填費で20円となり、原価は合計390円となります。
販売価格3,000円とすると、原価率は13%となります。
日本予防医学 イミダペプチド
爽やかな酸味が特徴、クエン酸
クエン酸は、クエン酸回路においてエネルギーを生み出すために必要な栄養素です。
また、活性酸素の増加を抑制する働きもあります。
クエン酸サプリメントの原価とおよその原価率
1日1包で1,000mgのクエン酸が摂取できるスティックタイプのクエン酸サプリメント(1ヶ月分の販売価格800円)の原価を計算してみます。
クエン酸の原料1kgが400円であると仮定すると30日分30,000mgで12円、紙パッケージ10円、アルミ個包装30包30円、そのほか充填費などで20円となり、原価は合計72円となります。
販売価格800円とすると、原価率は9%となります。
ただし、クエン酸サプリメントでは、ビタミンB群やBCAAなどの疲労回復成分がプラスされていることが多く、市販品の原価率はもっと高くなっているでしょう。
アミノバイタル クエン酸チャージウォーター
ニンニクや玉ねぎの香り成分、アリシン
アリシンは、摂取することにより血中の疲労物質の働きを抑えます。
また、ビタミンB1の吸収率を上げ、持続的な疲労回復効果をもたらすことが知られています。
Now Foods Garlic 5000
高い抗酸化力が魅力、コエンザイムQ10
エンザイムQ10は、細胞のエネルギー生成をもたらすとともに、抗酸化力によって細胞の傷害を抑制します。
コエンザイムQ10サプリメントの原価とおよその原価率
コエンザイムQ10の原価率などの詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
コエンザイムQ10サプリメントの効果、日本と世界の市場動向DHC コエンザイムQ10 包接体
腸活人気で注目されている、乳酸菌
乳酸菌が腸内環境を改善することで、細胞の活性化や質の良い睡眠が促されます。
乳酸菌サプリメントの原価とおよその原価率
1日1粒で200mgの乳酸菌が摂取できるアルミパウチ入りの乳酸菌サプリメント(1ヶ月分の販売価格2,000円)の原価を計算してみます。
乳酸菌の原料1kgが4万円であると仮定すると30日分6,000mgで240円、ハードカプセルの原料が1粒1円が30粒で30円、アルミパウチ10円、そのほか乾燥剤や充填費で20円となり、原価は合計300円となります。
販売価格2,000円とすると、原価率は15%となります。
なお、乳酸菌に関しては各社が独自成分を開発しているため、単純な原価計算が難しい点をご承知おきください。
カルピス ココカラケア
エネルギー源になる栄養素、炭水化物とタンパク質
運動後の疲労回復には、炭水化物やタンパク質が豊富な食事を摂取する必要があります。
炭水化物は、エネルギー源となるグリコーゲンの貯蔵量を維持するために不可欠です。
タンパク質は、運動により分解された筋肉を修復するために必要です。
明治 ザバス ホエイプロテイン100
炭水化物、タンパク質に関しては普段の食事から摂取すべき栄養素です。
ただ、炭水化物の摂取量が十分な一方で、タンパク質の摂取量が十分でない方が多いことから、運動をする方以外でも栄養補給の用途でプロテインを利用するケースも増加しています。
利用者別におすすめしたい疲労回復成分
アスリートや女性の疲労回復成分を知りたいという声が多いため、個別におすすめの成分をご紹介します。
アスリート、筋力トレーニングを行う方
運動後は、エネルギーを多く消費しているため、エネルギー生成と筋肉の回復に役立つ炭水化物とタンパク質を補う必要があります。
また、これらの栄養素による疲労回復を効率的に行うために、ビタミンやミネラルといった微量栄養素、BCAAなどのアミノ酸の摂取が役立ちます。
女性
女性をターゲットとしたサプリメントでは、代謝促進や美容効果が期待できる成分としてビタミンB群の配合量が多くなっています。
ビタミンB群は効率良いエネルギー生成をサポートしますので、もちろん疲労回復にも役立ちます。
なおビタミンB群は水溶性のため体外に排出されやすいです。こまめに補うことを心がけましょう。
サプリメント以外で疲労回復に役立つ商品
サプリメント以外には、栄養ドリンク、医薬品、漢方で疲労回復にアプローチする商品があります。
栄養ドリンク
栄養ドリンクは、カフェイン、タウリンのほか、ビタミン、アミノ酸を利用し、男性をターゲットとした商品が多いです。
ただし栄養ドリンクは継続的に利用していると、糖分やカフェインの過剰摂取が懸念されます。
カフェインは一時的な覚醒作用があるため、飲んだ直後は疲労を感じにくくなるしれませんが、本質的な疲労回復とは異なります。
カフェイン中毒や体調不良を催す可能性もあるため、利用するタイミングと量に注意が必要です。
医薬品
薬局やドラッグストアで購入しやすい第三類医薬品にも、疲労回復を目的とした商品があります。サプリメントよりも即効性が期待できます。
用法用量を守る必要があることはもちろん、即効性が期待できる分だけリスクがあることを覚えておきましょう。
具体的には、アリナミンEXプラス、リポビタンDロイヤルなどが挙げられます。
これらの商品は、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミン、タウリンを主要成分としています。
漢方
疲労に対して処方されることが最も多い漢方は、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。
その他肌の不調が伴う時には、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)が用いられます。
胃下垂、胃腸に関連する症状がある場合には、四君子湯(しくんしとう)、六君子湯(りっくんしとう)が使用されます。
疲労を回復するその他の方法
入浴、睡眠、運動の習慣を整えることで、疲労回復に役立てることができます。
湯船に浸かると、血流が良くなり体内に栄養が行き渡りやすくなると同時に、疲労物質の排出も促されます。また、深部体温まで温めてから寝ることで、入眠もスムーズになります。
睡眠時間は20代から徐々に短くなることが一般的ですが、6〜7時間確保することが適切とされます。朝に自然と目が覚めるような規則正しい生活リズムを心がけましょう。
また、適度な運動は、肉体的な疲労と精神的な疲労に対して有効であることが確認されています。
疲労回復サプリメントについていただいた質問
サプリポートでは、サプリメントに関する質問を承っております。こちらでは疲労回復の成分やサプリメントについていただいた質問とその回答をご紹介します。
乳酸菌はいろいろな種類がありますが、全てが疲労回復に効果があるのでしょうか。
(40代男性うちださん)
日本では各メーカーごとに乳酸菌を開発しています。具体的には、ガセリ菌SP株、ブルガリア菌2038株、ラブレ菌、ビフィズス菌SP株、LG-21などがあります。これら全てで疲労回復の効果が実証されているわけではないので、各乳酸菌の研究結果や商品の機能性表示を参照してください。
(株式会社サプリポート 天野)
コンビニで疲労回復サプリメントを選ぶ際にはどのような商品を選べばよいでしょうか。
(20代女性flower22さん)
コンビニにおいては、ビタミンを配合した多くの商品が見つかると思います。ビタミンの中でも特に疲労回復に役立つビタミンB1、ビタミンCの配合量が多い商品を選ぶとよいでしょう。
(株式会社サプリポート 岩垣)
αリポ酸が疲労回復に良いと聞きましたが、どうでしょうか。
(30代女性ユリさん)
αリポ酸は疲労回復を目的とした医薬品でも利用される成分です。ただし、過剰摂取のリスクや低血糖症状になった症例があることをふまえ、サプリメントではなく医師からの処方による利用をおすすめします。
(株式会社サプリポート 溝内)
疲労回復サプリメントについてのアンケート結果
2020年3月、株式会社サプリポートは疲労回復に関するアンケート調査を行いました。ここでは、疲労回復を目的としたサプリメントやドリンクの利用についての内容を抜粋してご紹介します。
回答者は、インターネット調査サービスの利用者となります。
日常の疲労に対するサプリメントの利用については231人の方に、運動の疲労に対するサプリメントの利用については100人の方に回答していただきました。
【調査概要】
- 調査時期:2020年3月
- 調査方法:インターネット調査サービスの活用
- 調査地域:全国
- 本アンケート対象者:疲労回復を目的としてドリンク、サプリメントを利用した経験がある方
【疲労回復に関するアンケート 質問項目抜粋】
- ドリンク、サプリメントの疲労に対する効果を教えてください
- 疲労回復のために利用したドリンク、サプリメントのメーカーと商品名を教えてください
- サプリメント(パウダー、ゼリー、プロテイン)を摂取するタイミングを教えてください
- 運動の疲労に対するサプリメント(パウダー、ゼリー、プロテイン)の効果を教えてください
- サプリメント(パウダー、ゼリー、プロテイン)を利用する場合としない場合では、疲労の感じ方、取れ方はどのように違うか具体的に教えてください
- 運動の疲労回復のためにサプリメント(パウダー、ゼリー、プロテイン)で摂取している成分を教えてください
- 利用しているサプリメント(パウダー、ゼリー、プロテイン)のメーカー、商品名を教えてください
73.1%の方が日常の疲労に対するサプリメントの効果を実感!
疲労回復を目的としたドリンクやサプリメントの利用について、「効果があった」と回答した方、「やや効果があった」と回答した方は、それぞれ13.4%、59.7%となりました。
よく名前が挙がったメーカー、商品は以下になります。
- 大正製薬 リポビタンD(79名)
- エーザイ チョコラBB(28名)
- 大鵬薬品 チオビタ(24名
- 武田 アリナミン(22名)
- DHC マルチビタミン(18名)
- 興和 キューピーコーワ(10名)
運動をする方は、運動した後の栄養補給を重視!
運動の疲労回復を目的としてサプリメントを摂取している方のうち、47%が運動後にサプリメントを利用しているという結果になりました。
運動後は、筋肉の分解が進んでいるため、疲労回復を目的とした栄養補給に最適なタイミングです。
疲労回復成分としてはタンパク質とBCAAが人気!
運動後の疲労回復成分としては、アミノ酸とタンパク質が圧倒的に支持されています。
運動中に分解された筋肉を素早く再合成させようとしている方が多いことが分かります。
なお、アミノ酸の中でもよく挙がったのが、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種、いわゆるBCAAです。
アミノ酸の中でもエネルギー代謝、筋肉の合成との関わりが特に深いため、当然の結果と言えるでしょう。
89%の方が運動の疲労に対するサプリメントの効果を実感!
89%の方が運動の疲労に対するサプリメントの効果を実感しています。
効果を実感している方の記述回答を一部ご紹介します。
運動中や運動直後における疲労の溜まり方をはじめ、翌日における疲れの残り方に効果を感じる方が多いようです。
・運動中の疲労感が違うように感じます。高重量負荷に耐えることができますし、飲まないと疲労感が早く訪れるように感じます
・飲まない時は、運動が終わった後に、体が重い感じになります
・寝る前にサプリを摂るようになってから、翌朝起きた時に疲れが残っていることが減りました。 飲み忘れた時に違いを実感します
・運動時はそんなに変わらないのですが、翌朝の目覚めの感じが違います
・翌日の疲れがかなり抜けやすいです
人気の商品はザバスのプロテインとアミノバイタル!
サプリメントの商品形状としては、タブレットタイプの商品のほか、プロテインやアミノ酸などの粉末状が多く挙がりました。
利用者が多かったメーカーは、以下になります。
- ザバス(25名)
- アミノバイタル(17名)
- ウイダー(10名)
- マイプロテイン(5名)
研究結果などの参考文献