L-シトルリンサプリメントの市場規模、効果や副作用のエビデンス

サプリメントへの利用が可能になったL-シトルリン

L-シトルリンとは、遊離アミノ酸（タンパク質にならないアミノ酸）の一種です。

人間の体内にも存在している成分で、血液中でL-アルギニンに変化し、一酸化窒素を生み出します。

血液中の一酸化窒素が増加すると、高血圧やコレステロール値の上昇、動脈硬化などを抑制する効果が期待できます。

また、尿素回路においてアンモニアを除去する働きも担っています。

強い抗酸化作用を持つため美容関連の商品に利用されることもあります。

L-シトルリンは、1930年に日本で発見されました。

スイカの中から発見されたため、スイカの学名であるCitrullus vulgaris（シトラルスヴルガリス）から名付けられています。

L-シトルリンは長らく医薬品に分類されていましたが、2007年に食品と医薬品の区分が見直されるタイミングで食品として利用が可能になりました。

日本におけるL-シトルリンの市場

食品としての利用が開始された2007年の段階では、L-シトルリンサプリメントの大半が男性の機能改善をメインに訴求を行なっていました。

L-シトルリンの認知が十分に広まりつつある2020年現在では、血流促進の機能、運動パフォーマンスの向上、冷えの改善、むくみの解消をアピールする商品が多くなっています。

アメリカをはじめとした海外においては、プレワークアウト（運動前に飲む用途）のサプリメントでの需要が大きく、この流れは日本にも波及しています。

大手メーカーでは、サプリメントのほか、ドリンクタイプの商品でL-シトルリンを取り入れるケースも見られます。

世界におけるL-シトルリンの市場動向、市場規模

運動能力に関するL-シトルリンの研究が特に進んでおり、すでに多くのエビデンスが出揃っています。

そのため、世界的にもプレワークアウトとして位置づけられたL-シトルリンサプリメントの販売数が多くなっています。

世界の主要メーカーとして、中国のヌトラ・グリーン・バイオテクノロジー、日本の協和発酵バイオ、中国の武漢・ソレアード・テクノロジーが挙げられます。

2018年時点で、世界の市場規模は296億ドル（約3兆1,759億円）となっています。

今後も年平均成長率6.25%で市場が拡大し、2026年には481億ドル（約5兆1,608億円）に達すると予測されています。

用途は多い順に、食品・飲料、医薬品、農業・動物飼料、化粧品で、成長率はそれぞれ5.4%、6.9%、6.2%、5.7%となっています。

市場シェアは大きい順に、アジア太平洋地域、北アメリカ、ヨーロッパ、中東、中南米です。

アジアにおいては、タイ、中国、インドなどの新興国における、需要増加が目立っています。

北アメリカにおいては、肥満や心血管疾患の高い有病率により需要が増えており、年平均成長率5.32%が予測されています。

ヨーロッパにおいては、引き続き食品や化粧品の需要が堅調です。南アメリカでは、医薬品や機能性飲料が市場を牽引しています。

L-シトルリンの原料価格

原料としてのL-シトルリンは、1kgあたり10,000円前後の国内産、6,000円前後の中国産に大別されます。

供給量、原料価格は比較的安定している傾向にあります。

L-シトルリンサプリメントの販売価格とおよその原価率

L-シトルリンに関する研究で効果が確認されており、かつ安全性が高い量として、1日あたり800mgが採用されることが多いです。

大手メーカーのL-シトルリンサプリメントは1,000〜2,000円台の商品が大半で、その場合の原価率は15%ほどになります。

1日6粒で800mgのL-シトルリン摂取できるアルミパウチ梱包のタブレット（粒）タイプサプリメントがあるとして、およその原価を算出してみましょう。

なお、シトルリンサプリメントは他のサプリメントに比べて粒の数が多いことが多く、摂取のタイミングを分散させやすい、摂取量を調整しやすい特徴があります。

L-シトルリン（1kgがあたり6,000円と仮定）の原料は1日800mgが30日分で144円、タブレット1粒1円が180粒で180円、アルミパウチは10円で、そのほか乾燥剤そのほか充填費、乾燥剤等で20円前後となり、原価は合計350円前後となります。

販売価格2,000円とすれば原価率は17.5%となります。

L-シトルリンサプリメントの原価の計算はサプリメントのOEMを行っている弊社株式会社サプリポート独自の計算方式になります。

実際にL-シトルリンを配合したサプリメントを通信販売している弊社株式会社サプリポートのクライアント様の商品の原価もこの数字に近いです。

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L-シトルリンの効果、エビデンス

L-シトルリンの摂取は、血液中の一酸化炭素増加に寄与することで、血管の拡張や血流の促進につながります。

そのため、運動能力の向上、集中力の改善、高血圧の抑制に関して研究が進められています。また、血流改善の効果に基づいて冷えやむくみの改善が期待されることもあります。

疲労物質であるアンモニアが肝臓で解毒される際の代謝を促す働きがあるため、疲労回復の機能も注目されています。

増えすぎると細胞の老化につながる活性酸素の除去、NMF（天然保湿因子）としての働きも確認されているため、美容面での働きも研究されています。

モナスティール大学の研究によると

経口摂取されたL-シトルリンは、アルギニンの循環やタンパク質の維持に重要な役割を果たすため、栄養不良の患者に有望な成分である

北里大学の研究によると

22人の日常的に運動している男性を、1日2,400mgのL-シトルリンを摂取するグループと偽薬を摂取するグループに分けて8日間にわたって摂取を継続してもらった。8日目にそれぞれL-シトルリンと偽薬を摂取した1時間後に4kmのサイクリングをした結果、前者のグループは後者と比較して、タイムが約1.5%短縮される傾向にあり、運動直後の疲労感と集中力にも有意な差が確認された

アーカンソー大学の研究によると

20代の女性15名を8,000mgのブドウ糖と8,000mgのL-シトルリンを摂取するグループ、8,000mgのブドウ糖だけを摂取するグループに分けて観察した。摂取した1時間後に上半身の筋力トレーニング（ベンチプレス）と下半身の筋力トレーニング（レッグプレス）のエクササイズをそれぞれ6セットずつ行ってもらった。L-シトルリンを摂取したグループは、上半身の筋力トレーニングと下半身の筋力トレーニングを完了できた回数が有意に増加した。なお、心拍数に有意な変化は見られなかった。以上より、L-シトルリンの補給は運動のパフォーマンスを向上させる可能性がある

イスファハーン大学の研究によると

2018年5月までに発表されたL-シトルリンと血圧に関する研究を網羅的に評価した。5つの研究を分析したところ、上腕収縮期血圧、大動脈収縮期血圧に対してL-シトルリンの有意な影響は確認できなかった。以上のことから、L-シトルリンの摂取は血圧に対して有益な結果をもたらさないことが示唆される

マサチューセッツ・メディカル・スクール大学の研究によると

40人の高血圧患者を、偽薬を飲むだけのグループ、L-シトルリンを飲むだけのグループ、運動するだけのグループ、運動してL-シトルリンを飲むグループに振り分けた。L-シトルリンを飲むグループはL-シトルリンを6,000mg、運動をするグループは歩行やランニングを40分間行なった。運動を行わないグループは40分間安静に座っていてもらった。その後、それぞれのグループで10分ごとに6回血圧を測定した。この結果、L-シトルリンを摂取した場合、高血圧患者の運動による降圧効果を高める可能性が確認された

アテネ大学の研究によると

健康な対象者24名をアセチルヘキサペプチド-3を投与するグループ、ペプチド結合したL-シトルリンであるトリペプチド-10L-シトルリンを投与するグループ、両方を投与するグループ、どちらも投与しないグループに分けて60日間にわたって肌の状態を観察した。この結果、アセチルヘキサペプチド-3は、しわを防ぐ効果が確認され、肌の水分の損失が有意に少なかった。トリペプチド-10L-シトルリンもしわを防ぐが確認され、肌の水分の損失を防ぐ可能性が示された。なお本研究において両成分が相乗的に作用するメカニズムは解明されなかった

L-シトルリンの目安摂取量

L-シトルリンは1日800mgの摂取で効果が確認された研究があることから、日本のメーカーは同等の量を配合し目安摂取量としていることが一般的です。

なお食品では100gあたりスイカに180mg、メロンに50mg、きゅうりに9.6mgほどしか含まれていないため、食品とのバランスを過度に心配する必要はないでしょう。

L-シトルリンの副作用

L-シトルリンは植物に由来する成分であり、過剰摂取による副作用が発生する可能性は低いとされています。

ただし、疾病の治療中の方、妊娠中の方は医師に相談するようにしましょう。

また、研究の際には数千mg単位のL-シトルリンが使用される場合もありますが、これまでに重篤な副作用は報告されていません。

上記で紹介したような研究結果などを元に同量のL-シトルリンを使用する消費者もいるものの、長期的に摂取した場合の影響については不明確であるため、基本的にはメーカーが推奨する目安摂取量を守るようにしましょう。

なお、少数の研究では胃の不快感といった副作用が報告されているため、そのような症状が出た場合はサプリメントの使用をやめてください。

コルドバ大学の研究によると

男性41名を8,000mgのL-シトルリンを使用するグループ、偽薬を使用するグループに割り振り、大胸筋トレーニングであるバーベルを利用したベンチプレスを行なった。前者のグループは、セット数の増加が有意に増加し、トレーニングを行った24時間後と40時間後の筋肉痛が減少していた。なお唯一の副作用として、6人の被験者から胃の不快感が報告された。以上のことより、L-シトルリンの補給によって、強度の高い無酸素運動のパフォーマンスを向上、筋肉痛の低減できる可能性がある

L-シトルリンサプリメント市場において人気がある商品

L-シトルリンサプリメント市場において人気がある商品をご紹介します。

L-シトルリンについていただいた質問

株式会社サプリポートでは、サプリメントの情報サイトであるサプリポートの読者の方からの質問を随時受け付けております。

今までにいただいたL-シトルリンサプリメントに関する質問とその回答をご紹介します。

L-シトルリンはダイエットにも有効と聞いたのですが本当でしょうか？
（40代男性さん）

L-シトルリンにより、体重が減少する、脂肪が減少することを示した信頼性のある研究は十分に出揃っていません。ただし、肝臓の脂肪酸の燃焼を促進する効果については研究が進められており、肥満に対する効果が期待されていることは事実です。また、一酸化窒素の増加により代謝の向上が見込めることは事実なので、ダイエット中の運動には役立つでしょう
（株式会社サプリポート天野）

L-シトルリンは薄毛に効果はありますか？
（30代男性さん）

男性型脱毛症の主要な原因の一つが、頭皮の血行不良です。そのため、L-シトルリンの摂取による血流促進が有効なケースもあるでしょう。ただし、男性型脱毛症には栄養不足など他の原因もあることを知っておきましょう
（株式会社サプリポート藤村）

プレワークアウトサプリメントとしてL-シトルリンを使用する場合は、運動の何分前に飲むべきでしょうか？
（20代男性さん）

多くの研究結果において、運動の30〜60分前にL-シトルリンを摂取した場合にパフォーマンス向上が確認されています。また、研究の当日だけ被験者にL-シトルリンを与えて運動能力の向上が確認された例もあるので、重要な試合や大会の日だけ使用するという使い方を検討してもよいでしょう
（株式会社サプリポート溝内）

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